お部屋に家具をレイアウトする前に、最初に考えたいのは、ゾーニングです。
ゾーニングとは、そのお部屋の中で、またそのどのエリアで、どんな活動・動きをするかを決めることです。例
えば、ベッドルームであれば、
寝るエリア、着替えるエリア、化粧をするエリア、寝室に書斎コーナーがあるようであれば、デスクワークをするエリア、などを決めます。
これによって、家具のだいたいの場所が決まってきます。
このゾーニングをする際に注意したいのは、
(1) コンセプトを意識した視線計画にする
(2) あり得る活動を具体的に洗い出す
(3) 他のゾーンとの距離を考える
(4) 建物の設備をチェックする
ということです。
この4つの基本をおさえた上で、細かいテクニックを付け加えていくと、レイアウトの完成度は高くなります。
(1) コンセプトを意識した視線計画にする
視線計画とは、動線上や着座位置から何が見えるか、どのように見えるかを計画する事です。
私たちは、視界に入るものを捉えて感じているわけですから、広く感じたり、明るく感じたり、すっきり感じたり
する空間をデザインするということは、視界に入っている絵画をコントロールすることと同じです。部屋に入った瞬間や、長い時間を過ごす場所、それぞれの場所における視点の高さは違ってきます。
そこで、それぞれの場所における視線計画が必要になってきます。
その視線計画をする時のガイドラインとなるのが、そのお部屋のコンセプトです。
「シンプルで広く感じるモダンなお部屋にしたい」とか、「アジアのリゾート風のお部屋にしたい」など、
自分がお部屋に求めている基本構想がコンセプトとなるわけです。
そのコンセプトをもとに、各エリアをどう配置すれば、そのコンセプトに沿うかを確認する事で、どのようにすれば、自分の目指すお部屋に近くなるかを判断していきます。
(2) あり得る活動を具体的に洗い出す
大きなコンセプトから大雑把な視界の方向を確認したら、次は、具体的な活動を洗い出しましょう。
ダイニングは食事をする、リビングはテレビを見る、ベッドルームは着替えたり寝たりする、というのは、当然のことですが、暮らしの中でこれだけしかしてないということはありませんね。
自分のライフスタイルを振り返ってみると、ダイニングテーブルでデスクワークをしたり、リビングでコーヒーを
飲んだり、私たちは、ひとつの空間で複数の活動をしていることが分かります。このように、この空間は、こういうことが行われるエリアということを明確にしていくと、物の配置が検討しやすくなります。
間取り図などに、エリアを丸で囲み、そこでの活動を書き込み、その際に必要なものや、広さ、明るさ、注意点などを記してみましょう。
(3) 他のゾーンとの距離を考える
エリア内での活動の種類が固まってきて、何のゾーンかが見えてきたら、今度は、そのゾーンが本当にその位置でいいのかどうか最終チェックをします。それぞれの活動の順序を考えてみて、スムーズに移動できるか、トータルの移動距離が長すぎないかを考えてみてください。
洗濯物を取り込んで、たたんだ後、チェストやクローゼットにしまうまでの間に、あっちに行ったり、こっちに行ったりしていませんか・・・?
テレビを見る時、リモコンをテレビ本体の近くまで取りに行って、見終わった後、また本体近くに戻しに行ったりしていませんか?
効率の悪い移動をなくして、ゾーンとゾーンの位置関係を変えましょう。
(4) 建物の設備をチェックする
もうひとつチェックしたいのが、建物の設備です。例えば、コンセントの位置、スイッチの位置、アンテナの位置など。
これらを無視してコーディネートしてしまい、コードが長く出ていると、見た目が悪いだけでなく、ペットや小さなお子様がいらっしゃるお宅では、危険でもあります。また、エアコンは、簡単に位置を変えられませんので、エアコンの風が直接あたる場所は、気をつけておきたいものです。
ほかにも、設備そのものではありませんが、窓の位置も気を配りたいところです。日の当たり方が、どうなるのかを意識しておかないと、昼間にデスクワークをしたい場合などは悪影響が出ます。日差しだけでなく、外からの視線も意識する必要があることもあるかと思います。
しかし、全てが思い通りにいくわけではありません。大事なことは、優先順位をつけることです。優先順位を決めて、納得した上でゾーニングを完成させてください。
では、家具のレイアウトに進んでいきましょう。“まず大きな家具の位置を決めること”と薦めているインテリアの本を、時々見かけます。置くものが少ない場合には有効なやり方です。しかし、置くものが増えてくると、ひとつ置き場所に都合が悪くなると、いったん決めたそれまでの家具の置き場所までも、また考え直しになってしまい、何度も同じループを繰り返すことになってしまいます。
ポイントは、一度に全部を視界の中に入れたうえで、優先順位をつけて決めていくことです。ゾーニングが済んでいれば、そのエリアでどんな活動をするかが書かれていますので、必要な家具が何かはすぐに分かると思います。
それぞれのゾーンに、置きたい家具の縮尺を合わせた切り抜きを、とりあえず全部置いてみましょう。
その時、ゾーニングの際に考えた“コンセプト”を意識した視線計画を思い出してください。基本的な着座の向きなどを想定しながら、並べていきます。
さあ、ここからが配置のポイントです。注意すべきことは、次の3つです。
(1) 動作・動線
(2) 視線
(3) エアポケット
以下、詳しく説明していきます。
(1) 動作・動線
家具の配置を考える時は、歩行や動作のスペースも忘れずに確保しておく必要があります。人が通るためのスペースに余裕がないと、あちこちにぶつかったり、家具の間を迂回したりとなると、とても不便です。
動線となる通路の幅は、平均的には、55~60cmと言われていますが、これは意外と狭いです。すれ違うことが多くなりそうなら、倍のスペースは確保する必要があります。
しかし、動線の方ばかり気にしすぎて、動作空間が狭くなるのは、ばかばかしので、動作空間の確保の方を優先させるようにしてください。
動作空間に必要な広さは、何をするかによって異なってきますが、実際に動いてみて決めるのが一番です。必ずしも余裕をもってとるのが良いとは限りません。物を取ったりするには、近い方が良いこともありますから、そのあたりも考慮してください。
(2) 視線
視線については、ゾーニングの時にも一度考えましたね。
ゾーニングの時には、大きくエリア決めをするために、ざっくりとした視線の方向性を確認したわけですが、動作・動線を確保した上で、家具のレイアウトの時に行う視線のチェックは、お部屋をすてきに見せるためのもの。
入口などの移動起点、ソファやチェアなどに座る場所、キッチンや家事などの作業場所、などからの視線をチェックします。
チェックするのは、次の3つです。
A. 広く見せる
B. 邪魔なものを消す
C. 目を引くところを作る
チェックする場所によって、ポイントの中心も変わりますが、それぞれ見ていきましょう。
A. 広く見せる
特に、入口からの視線のチェックの際に重要です。
方法としては、遠近法を取り入れる、大きな鏡を置く、家具の背を低めに抑える、などあります。
遠近法は、背の高い家具を手前に置いて、徐々に背の低い家具を置くに向けて置いていくことで、先が遠くに見える目の錯覚を利用するものです。
大きな鏡をおくと、もっと向こうまで部屋が続いているように見せることができます。時々、店舗などでみかけますね。もっと置くまで商品が並んでいるかと思ったら、鏡だったということはありませんか?
もし、家具をこれから購入するのであれば、背を低めに抑えることで、圧迫感がなくなり、広い空間を確保できます。
B. 邪魔なものを消す
特に、座る場所や、作業場所からのチェックの際に重要です。
座っているときや、作業しているときは、目的を持って活動していますから、視線は、なるべくその目的に集中したいものです。できるだけ、余計なものが視界に入らないように配置しましょう。
例えば、ダイニングセットの向きを、キッチンに対して水平に置くと、片方の席の人は、人越しにキッチンが見えてしまいます。キッチンには、どうしても雑多なものが置かれやすいところですので、ダイニングセットは、キッチンに対して垂直におくのが、視線としてはおすすめです。
C. 目を引くところを作る
専門用語では、「フォーカルポイント」とも言います。とくに、入口でのチェックに重要です。
ドアを開けたときの一瞬で、お部屋の印象は決まるものです。
そこで、一ヵ所見せ場を作っておくことで、目線がそこに集中し、印象がグッとよくなります。基本的には、入口から入って、比較的目を向けやすい方向の壁を飾るのがコツです。
注意するのは、大きさのバランスとテイストの統一感です。あと、欲張って何ヵ所も作らないでください。フォーカルポイントは、その名の通り、焦点を合わせるポイントなので、何ヵ所もあると、今度は雑然とした感じになる危険性が増えます。
(3) エアポケット
これまでの工程で、基本的には、既に問題の少ないレイアウトになっています。
でも、ここでもうひと工夫すると、よりまとまりがあり、広い空間を感じられるお部屋に見せられます。そのポイントは、エアポケット=空間のムダをなくすことです。
家具をレイアウトするとき、全体にちょっと余裕を持たせて配置してしまうと、中途半端に使い道のない“エアポケット”ができてしまいます。このエアポケットをできるだけなくしていって、エアポケットを集めてできた空間を、どこか有効に使いたい場所や、入口近くのエリアに集めることで、広い空間を見せていきます。
そして、これは同時に、家具の配置を、広く分散していた状態から、ある程度寄せていくことになりますから、お部屋にまとまり感がでてきます。